日本とフィンランドの幼児教育に対する考え方、働くことに対する考え方、生き方、人とのかかわり方にはいくつかの点で違いがある。その中でも、フィンランドの幼児教育を支える保育士たちの仕事に対する考え方について紹介したい。ちなみにフィンランドの保育士たちは、体調を崩すとすぐに休む。
自分ができることを生かす
フィンランドの保育士はピアノが弾ける人もいれば、全く触ろうともしない人もいる。
そもそも、全体的にピアノは弾けない人の方が多い。ピアノが弾けない保育士は、CDを活用したり、タブレットや携帯でYouTubeを流す。
“保育士は何でもできる”という概念はなく、できないことはできない、私の分野じゃないとはっきり言う。工作が得意な人はそれをよく保育に取り入れているし、お菓子作りが得意な人はそれを活かす。
クラスの中にはだいたい3人の保育士がいるので、それぞれの得意分野が生かされている。
自分ができることを生かすという考えは、保育所で作成される個人指導要録にもその項目がある。子どもできることに注目して、それを伸ばすことが目的だ。
平等を叫ぶ保育士たち
フィンランドはよく男女平等社会と言われ、教育を受ける平等性が大切にされている。
幼児教育における平等性と言えば、所得に基づく保育料と入園の保証だろう。
日本の制度と同じようにフィンランドでも所得によって保育料は変わる。
フィンランドでは、親の就労に関係なく保育所に子どもを預けることができる。
以前は、幼稚園のように午前保育のみの幼稚園もあったが、最近では全日保育が主流だ。
さて、この平等性は保育士達の間でも話題に挙がる。
シフトと休暇取得に対してフィンランドの保育士達は敏感だ。
まず、残業は管理職じゃない限りそうそう起こり得ない。
シフトでは朝番が続くと不満が出たかと思うと、遅番が続いても不満が出る。
つまり、みんな平等にシフトをこなしたいのだ。
取りたい休みは率先して言うし、少しでも時間外労働になりそうなら不公平だと騒ぐ。
風邪をひいたらすぐに休む保育士
“熱が出ている中でも一生懸命働いて、子どもの保育を最優先にする。”-この考えはフィンランドでは存在しない。
フィンランドの保育所では必ず誰か体調不良で休んでいる気がする。
風邪をひいてしまった時に、自己責任は問われない。
むしろ、誰かにうつされた、ウイルスが悪いと思っている人の方が多い。
病休明けに、職場の人に謝る人は見たことがないし、周りも別にそんなことは求めていない。“風邪はどうにもできないじゃん”と考える。
とは言っても、一人でも大人の数が減ると保育に影響するのは確かだ。
そんな時のために、臨時保育士システムというものが存在する。
臨時保育士リストに登録された人達が、園からの要請に応じて出勤する。
保育士は所長に病欠を伝え、あとは所長が調整する。
風邪をひいてもすぐに休める制度が整っているためか、限界まで働いて心身ともに体調を崩して長期療養に入る人は滅多にいない。
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