【衝撃】園内研修会にて園長先生、フルボッコにされる。

園内研修会があった。
色んな意味でカルチャーショックだった。
前からフィンランドでは、管理職の立場が弱いというか、職員の立場が強いというか、そんな気はしていたけど、まさかこんな研修会があるだなんて。

研修会は夕方の16時から始まった。2時間。
教育委員会から来た人が研修会の進行役だった。
まず最初に、この春に実施された“職場に関するアンケート”の結果報告から始まった。
アンケート項目は細部に渡っており、例えば

・職場に満足していますか。
・職場のチームは機能していますか。
・自分の仕事の量は妥当だと思いますか。
・他機関との連携は十分だと思いますか。
・法律で決定する事項に関心はありますか。
など。

そして、アンケートの中にこの項目が。
“園長の役割について満足していますか”

どうやら、この保育所ではこの園長の役割に対する回答内容が、
市全体と比較して、やや低かったよう。

そして研修会は、それぞれのクラスに分かれて
“園長に求めるもの”　について話し合うよう進められ、
ポストイットに書くことに。

ポストイットは、3色あって、それぞれの色に何についてを書くか指定された。

オレンジ　平等性
ピンク　愛情、思いやり
黄色　　勇気、度胸

私はこの時点で、こんなの公開処刑では。と思ってどきどきしていた。

さて、これをそれぞれのクラス、７クラスに分かれて話し合う。
１クラス、３-４人の保育士がいるので、およそ２０人分の意見が出揃った。
各クラス、前に出て発表してポスト・イットを貼っていく。
同じような意見のところには、同じところに貼っていく。

どんな意見が出たのかと言うと、

【平等性】
・休暇取得を平等に
・シフトの作り方
・お気に入りの人を作るのではなく、みんな平等に
・研修へ参加できる機会

【愛情、思いやり】
・職員に対する興味
・共感性
・話を心から聞く
・個人的な問題に対する理解
・クラスのこと、もっと気にしてほしい

【勇気、度胸】
・難しい事柄にも、ちゃんと介入してほしい
・取り扱いたくないことでも、決定を下してほしい
・伝えたいことはちゃんと伝えてほしい

などなど。
園長も、もちろんその場にいる。
私ならこんなふうにフルボッコにされたら、立ち直れない…
この保育所で働き初めて、１ヶ月なのでよく事情はわからないけど。

教育委員会の人は、この結果をスクリーンに映し出されたワードに書き込んでいく。
そして、改善点をまとめていく。
まとめれる工程で再度、何が求められているのかスクリーンに映し出され、繰り返される。
フィンランド人、すげえ。

この研修中、日本でならどうだろうと考えていた。
まず、職員に職場に関するアンケートを取ってもらえるだろうか。
アンケートがあっても、正直に答えられるだろうか。匿名でも。
そして、園内研修と言えば、担任が責められる場ではなかろうか。
休暇、シフトに対してこんな強く言えるだろうか。
指導案・書類は、副園長、園長に見せて、何度も訂正されるのが普通だったけれど、
“もっと気にかけてほしい！”と願うフィンランドの保育士たち。
私は、フィンランドの保育では自由が与えられていて嬉しい。と思っていたのに。

ちなみに、この園内研修は１６時から１８時まで行われた。
保育所はいつもは１７時に閉園だが、この日のために保護者に
“１６時までに迎えが可能か”という、調査票が配られていた。
私のクラスの保護者はみんな、“１６時までに迎えにいけます”と答えていた。

そして、私の今日のシフトは変則的で、
７時半～１０時、１３時～１８時　　だった。
つまり、３時間休憩があった。普段の勤務時間は７時間～８時間なので。
日本なら、７時半から１８時勤務って普通だったのに。
むしろ１分も休憩がない時も当たり前だったのに…

なんか色々衝撃的な研修会だった。
フィンランドで園長になるには、相当のメンタルが強い人じゃないと無理そう。

この研修会ですごいなと思ったのは、園長本人が
“私は、難しい判断とかを下すのが苦手だと、自分でも分かっている”　と、
自分の改善点を、みんなの前で話していたこと。
こういうのができる管理職って、なかなかいないんじゃないかなと思った。